社内ベンチャーを評価できない企業で苦しむ従業員の現状

社内ベンチャーなんてやらなきゃよかった。発足期、母体の顧客を「引き継がない」という暗黙の了解があっただけに、新規の顧客開拓には毎日吐き気がするほどのプレッシャーと対峙した。

何ヶ月も顧客との話がまとまらず、門前払いも続くと、次第に占いや風水を頼るほどにまで精神も衰弱してくる。当時を思い出せば、自らのセールスポイントを相手に伝えることが下手クソ、信頼を得るための努力を怠っていた等、反省点は満載だが毎日パソと睨めっこしていた世間知らずのオタクリーマンがいきなり営業活動をしたところで「キョドッたキショいオサーン」の話なんて誰も耳を傾けないのは当然の反応だ。

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人間の成長とは不思議なもので、「ダメ」ならなんとかその「ダメさ加減」を解消しようと努力する。オサーンでもリーマンでもオタッキーでも。次第に発する言葉や口調も「穏やかに、なだらかに、清々しく」なり、徐々にではあるが対人との会話において、受注・契約まで至らないまでも、「手応えみたいなもの」を感じるようになる。

「はじめの1件」の受注が、とても大きなハードルであった。これが出来ずに挫折していく人が多いのだろうが、私は何とかこれに辿り着くことができた。この1件を大切に、自分の全てをそれに費やしたことで、「大きな信頼」を得られたような気がした。

それらを何度か繰り返すことで、信頼というものが「広く」「大きく」なっていったようだ。顧客が顧客を繋げてくれ、私心を励ましてくれた。これは「売上」という金銭的な向上に対する喜びではなく、「人に紹介してもらえるほど信頼してもらえた」という自分という存在を認めてもらえたという喜び───。

心理的には「飛び込み営業に行かなくても顧客がいる」というコトが、私の精神的な負担を大幅に減少した。この業種(Webマーケ&コンサル&デザイン・制作)において、信頼関係のない営業活動は、相手の目がコチラを「詐欺師」という程の猜疑心満載の眼差しで応対される。時には無理難題を要求されるばかりか、奴隷的な扱いをされたりすることもあったりと、なかなか辛い場面も多々あってシンドイ───。そんな相手と言葉を交わしても、何も残らないし伝わらない───。全くの無駄───。(私は、どの業種においても飛び込み営業 ”無駄” 派です。)

それでも、私を信頼してくれた方には、感謝しながら自分出来ることを精一杯やってきた。その積み重ねが今となり、これなら何とかやっていけそうだ───。

しかしここにきて、「社内ベンチャー」というスタンスが、上長・取締役に提出する「熱量満載の事業報告書」の内容に水を射される的になろうとは…。「母体の看板で受注出来ているだけだろう───」というつまらん言いぐさ───。そして、そう言われ続けられることで洗脳されてしまってきたメンバーと私───。そろそろ考えなくちゃかな───。

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