立ち食いそば屋の「美味しさ」にショックを受けたリーマン

昨今の「駅ナカ充実化」もターミナル駅からローカル駅まで改装が進んできた。自宅、勤務地のローカル駅でもその施工が数ヶ月前に完了し、立派な建築でたくさんのショップが軒を並べた。社畜の宿命である深夜の帰宅時でも、駅に行けさえすればなんとか疲れを癒すことができるようになったことは嬉しい限りだ。そんな感想を社員が抱いているなんて定時前には誰もいなくなる弊社の経営層は知る由もないのだろう。

ある休日、自宅最寄駅で人と待ち合わせをしていたのだが、電車の遅れで待ち合わせ時間に到着が難しいとの連絡が───。「ではどこかで昼食をすませて待ちましょう」ということになり、それまで立ち寄ったことはなかった自宅最寄の駅ナカを探索してみた。

勤務地の駅ナカは探索したことはあっても、自宅最寄駅のそれを注意深く探索したことはなかったこともあり、まさに「灯台下暗し」が実感できた。たくさんのショップにお気に入りのチェーン店があり、わざわざ遠出する必要がないことに気づかされた。「自宅最寄の駅ナカも楽しめそうじゃないの」と気分が高揚する。

あそこもここもと悩みながら、大食漢とは全く真逆の胃袋を持ち合わせていることもあり「腹八分」と立ち食いそば屋に入店。一番人気の「かき揚げそば」を食券機で購入。立ち食いと言っても着座スペースも準備されており清潔感のある店内は、昭和時代のそれとは大違いのイメージだ。

おばちゃんに食券を渡し、待つこと20秒。「はい、お待ちぃ」と早速登場。登場は即席だが目の前のそれに即席感はない。ネギにワサビ、そば湯までスタンバイされているトレイをもち着座して早々に食す。蕎麦はコシがありしっかりと蕎麦の香りが口の中に広がる。そして、パリパリ、サクサクのかき揚げは予想に反して大絶品だ。なんだこの立ち食いそば屋は!駅ナカのそば屋がこんなに美味しいのか!と久々に受けたカルチャーショック。自身の勝手な思い込みとイメージが、視野を狭くしてしまっていると痛感した駅ナカ探索だった。

帰宅後、待ち合わせのことをすっかり忘れていたことに気づき、もう一つのショックを受けたリーマンの休日。

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