だらしない人のおかげで「安くて便利なサービス」が利用できているという話

日本における一般庶民の生活が「裕福」とまでは言えないまでも、”震えるほどの生活苦”に悩まされることなく生活できている現在は、悲観的に表現しても概ね「平和」と呼べるものだろう。

衣食住に苦しむことなく、多少の娯楽に心癒される日曜日の午後───。レンタルビデオ屋さんで、マニアックで独特なアクション映画をレンタルし、ソファーで寝転がり、スナック菓子をつまみながら視聴するその時間は「平和」そのもの───。平和ボケのオサーン。

レンタルビデオ屋さんには、最新映画がずらりと並び、そればかりか「私以外に借りる人が存在するのだろうか?」と首を傾げたくなるようなマニアックなタイトルも多数揃えてあるその品揃えの良さはまさに「庶民の娯楽」をしっかりと支えてくれている存在。また、それをリーズナブルな価格設定で提供しているという「庶民の味方」感は、まさに私の味方でもある。

それにしても、こんなに安い利用料でサービスを提供しているレンタルビデオ屋さんの経営は ”繁盛” しているのだろうか?───薄利多売のビジネスモデルであるだろうが、人件費や店舗賃借料、光熱費等のランニングコスト、加えて商品の仕入れなどを考慮するとかなり切迫した経営なのではなかろうか?

私は、他社の経常勘定を、勝手気ままに想像しながら行うことを趣味としている。自身の知見と経験に加え、インターネットで仕入れた情報を基に、仮説を立て算出していく。この作業は、私にとって寿福のとき、心躍るほど楽しい時間だ。時の経つのも忘れ、レンタルしてきたDVDも程々に、メモ帳と計算機を手にセコセコと架空の決算書を作り上げていく。

数時間後、完成した架空の決算書を眺め、あらゆる可能性を想像しながら過不足ない事を検証する。

そんなことに没頭できるなんて、これもまた「平和」の証。はたま40オーバーオサーンリーマンの暇つぶし───。

あらゆる想定と過程を想像しながら算出された数字のリアル性はさておいて、なかなかどうして厳しい経営状態(仮)が現れた。時間を忘れ没頭したことで、日付も変わった深夜と気づき「苦しいなぁ~」なんて他人事のように(当然他人事なのだが)思いふけりながら床に着く───。

───数分後。ハタと閃き声を出す……「返却するの忘れた…」

時計を見るも、とうに閉店している時間───。アララ…。

明日は仕事で帰りも遅いし、返却は明後日になるなぁ───。延滞金が───とここで、見落としていたレンタルビデオ屋さんの収益ケースの一部が判明した。ナルホド…。

私のような一部のだらしない人のおかげで、皆さんは安くて便利なサービスが利用できているんだという真理────。

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